運動量を確保し、生活リズムを整えましょう

新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいと言われている基礎疾患のひとつに「糖尿病」があります。予備群も含めると、日本人の5人に1人が罹患している身近な病気です。糖尿病患者さんは、この時期、何に気をつけて過ごすことが必要か、日々の生活のヒントを糖尿病専門医の矢作直也先生に伺います。

TOPICS

  • 「用心」とともに、体調と向き合いましょう
  • 「シックデイ 」の備えを早めに
  • 運動量の確保に努めましょう
  • 食事の調節は、満足度をキープして
  • 生活リズムを整えて、血糖をコントロール

「用心」とともに、体調と向き合いましょう

基礎疾患をお持ちのかたが新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすい可能性があると言われています。心疾患や呼吸器疾患に加えて、糖尿病もその一例として挙げられますが、じつは、現時点ではっきりしたことは、まだわかっていません。新型コロナウイルスに関しては、現時点でまだ十分なデータがなく、知られていないことが多いのが実情なのです。

しかし、新型コロナウイルスとよく似た別のコロナウイルスによる肺炎として、2002〜2003年に発生し、世界の32地域と国に感染が拡大した「SARS( 重症急性呼吸器症候群)」が挙げられます。その際は、糖尿病がSARS重症化の危険因子だったということがわかっており、新型コロナウイルスに対しても、用心をしておくに越したことはないと思います。

糖尿病の患者さんは免疫に関わる細胞の機能が低下していることがあるため、さまざまな感染症にかかりやすいと言われています。日頃からご自分の体調を気にかけて過ごすことが大切です。

万が一、発熱や咳が続くといった症状が現れたら、かかりつけの医療機関に直接出向く前に、電話をして、受診が可能か指示を仰いでください。また、オンライン(または電話)での診療を実施している病院もあります。

「シックデイ 」の備えを早めに

糖尿病のかたが感染症にかかり、体調不良や食欲不振によって、食事が十分にとれないときのことを「シックデイ(sick day=体調が悪い日)」と言い、特に注意が必要な日とされています。こんな症状があるときには注意しましょう:

✔ 発熱がある
✔ 下痢が出る
✔ 嘔吐する
✔ 食欲がわかない、食事がとれない

ふだんは血糖コントロールを良好に行えているかたであっても、シックデイ においては食事の減少により低血糖になることもありますし、逆に脱水や体を守るホルモンの影響で、高血糖になる場合もあります。インスリン治療を行っているかたであれば、特に注意が必要です。

シックデイへの対処方法は、あらかじめ主治医と相談しておくことが大切です。放置してしまうと、意識障害など、重篤な状態に陥る可能性もあります。脱水予防の水分摂取方法、内服薬やインスリン量の確認などを日頃から整理しておき、対処方法を文章にするなどして、家族とも情報共有しておくとよいでしょう。安心して過ごすためには、ご自身はもちろん、周囲のかたの理解も必要です。

運動量の確保に努めましょう

現在の状況において、「外出自粛」とは、出歩くことで他者と濃厚接触するのは避けましょうという意味であり、自宅外へ一歩でも出ることを止めましょうということではありません。特に糖尿病患者さんは、活動量が低下すると、血糖管理状況の悪化につながりかねません

他者と濃厚接触しない形での散歩やジョギングなど、体を動かすことは、しっかり行い、運動量を確保しましょう。外に出かけられないときは、家のなかで工夫して、体操や運動を行うことが重要です。運動量を確保することで、食事の量をいつもと変えることなく楽しみましょう。

食事の調節は、満足度をキープして

やむを得ず活動量が低下し、食事にいつもより気をつけなくてはいけない場合は、主食(ご飯)の量をいつもより少し減らしてみましょう。量を減らすと物足りない、というときには、白米に混ぜて炊くことができる「こんにゃく米」(さまざまなメーカーから市販されています)を使うと、満足度はそのままに、カロリーと糖質を抑えながら、食物繊維の摂取量を増やすことができます。

そのほか、野菜・きのこ・海藻類を多めにすることで食物繊維量を増やす、揚げものなど油っぽい料理をできるだけ避けたり、肉より魚を選ぶようにしたりして脂質を減らす、といった方法もおすすめです。これまでは外食が多かったかたも、朝昼晩の食事の内容を見直す、良い機会になります。

生活リズムを整えて、血糖をコントロール

これまでと違う生活が続くなかで、就寝と起床の時間が徐々にずれたり、食事の時間が不規則になってしまったりするかたもいらっしゃるでしょう。

しかし、食事の時間が大きくずれると、「体内時計」による食事への体の準備がうまく行えなくなることで、食後の血糖値が上昇しやすくなります。本来の食事の時間に合わせて生じる体内時計は、太陽の光によっても調節されているので、睡眠の時間帯がずれて陽に当たる時間が減少しないよう、注意を払う必要があります。

また、体内時計は食事によっても調節されていますので、朝昼晩と食事を抜かず、食事をとる時間がずれないように心がけることは、体内時計を正常に維持することに役立つと考えられます。これまで以上に、生活リズムに注意し、規則正しい生活を心がけていきましょう。



プロフィール

矢作直也 先生

筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科准教授

東京大学医学部卒。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院特任准教授を経て2011年より筑波大学准教授(ニュートリゲノミクスリサーチグループ代表)。医師として糖尿病やメタボリックシンドロームの診療にあたりつつ、研究者としてニュートリゲノミクス研究を推進。薬局と医療機関との連携による糖尿病早期発見プロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」の展開など活動は多岐に渡る。著書に『筑波大学附属病院とクックパッドのおいしく治す「糖尿病食」』など。

おいしい健康と筑波大学附属病院による「糖尿病患者さんのための1週間あんしん献立」を監修。

  • 取材・文/おいしい健康編集部 (メール取材)

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