服薬や治療は自己判断せず、主治医に相談を

慢性疾患をお持ちのかたは、さまざまな心配があると思います。今まで続けていた治療や服薬はどうしたらいいのでしょう? これまで通り、病院や薬局へ出向いて大丈夫なのでしょうか? 薬学者・薬剤師の井手口直子先生に教えていただきます。

TOPICS

  • まずはかかりつけ医に相談をしましょう
  • 薬局へ出向く回数、滞在時間を減らす工夫を
  • 専門家による情報を選ぶように
  • サプリメントを活用するコツ

まずはかかりつけ医に相談をしましょう

慢性疾患をお持ちのかたは、服薬が必須な場合が多いと思います。ただ、ウイルスのことを考えると、通院のための移動や院内待機での感染のリスクの可能性もあり、不安を感じているかたはたくさんいらっしゃるでしょう。だからといって、自身の判断で治療をやめたり、服薬の頻度を減らしたりといったことはしないでください。まずは、主治医に相談しましょう。

国の感染対策の方針として、かかりつけの医師に相談すれば、電話やオンライン(テレビ電話など)の会話での診察が可能になっていますし、処方箋を出してもらうこともできます。通院に対する心配をやわらげることができるので、ぜひ連絡してみてください。

また、通院の有無に関わらず、やりとりの回数を減らすために、通常よりも薬の日数を多くできる場合もあります。対応策はいろいろあるので、まずはかかりつけの病院へ連絡してみましょう。

薬局へ出向く回数、滞在時間を減らす工夫を

オンラインでの診察ができた場合、処方箋は、病院から直接かかりつけの薬局へFAXなどで送ってもらうことができます。あとは薬局へ受け取りに行けばいいだけです。ただ、薬を作るためには時間がかかるので、事前に連絡してから足を運ぶようにしましょう。薬局で待つ時間を短縮できるので、感染のリスクを減らすことにもつながります。

また、現在は、感染予防の措置として、薬局からの配送も可能になりました電話などで薬についての説明をきちんと受けたうえで、自宅へ送ってもらうことができます。会計は薬局によって違い、代引きや請求書で後払いなどがあるので、事前に確認しておくとスムーズです。

さらに、本格的にオンラインを導入し、受診から処方箋の手配、支払いまでをすべてサイト上でできるクリニックもあります。導入している病院はまだ少ないですが、まずは主治医がいる医療機関に電話で相談してみてください。

専門家による情報を選ぶように

新型コロナウイルスに関連して、薬についてもさまざまな情報を目にするようになりました。降圧剤を服用していると感染時に重症化しやすい、イブプロフェンを含む市販の薬でも症状が悪化する、などといったものです。

まず、みなさんに知っていていただきたいのは、新型コロナウイルスが未知のものであるということ。今まさに研究されている状況ですから、どんな情報も精査することが必要です。ネットなどの情報では、何が発信源かわからないものも多くあります。専門家がきちんと根拠に基づいて発表している情報を選ぶようにしてください

例えば、こちらをご覧いただければ安心だと思います。

高血圧については「日本高血圧学会」
http://www.jpnsh.jp/topics/669.html

市販薬については「厚生労働省」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00004.html#Q25

不確かな情報に左右されてはいけません。治療や服薬については自己判断をせず、主治医に相談し、心配なことがあれば伝えるようにしましょう。もちろん、市販薬も含め、薬の服用に対する心配があったら、薬剤師に相談することも大切です。

サプリメントを活用するコツ

薬に限らず、サプリメントについてもさまざまな情報が飛び交っています。特に「このビタミンサプリメントが新型コロナウイルスに効く」という商品の宣伝などは、根拠のない情報です

ただ、ビタミンCやD、亜鉛などの摂取が感染の予防や予後の改善のプラスになったという文献はあります。そもそも、ビタミンやミネラルは人間にとって必要な要素です。欠乏すると健康に影響が出る場合もあるので、食事で十分にとれない場合は、サプリメントで摂取するのもおすすめです

とはいえ、サプリメントの大量摂取はおすすめできません。オーソモレキュラー医学という分野では、ビタミン等を点滴などで摂取し、糖質コントロールを行うことで病気の予防や治療を行っています。しかし、あくまでもこの分野の専門医師のアドバイスのもとに行われることです。ビタミンDやAなどの脂溶性ビタミンは過剰性もありますし、水溶性のものだからといっても、服用分がすべて吸収されるわけではありません。自己判断での大量摂取は控えましょう。

サプリメントを選ぶ際にも、服用する際にも、大切なのは、きちんとパッケージを確認すること。さまざまなメーカーのものがあって見極めるのが難しいので、含有量や添加物、製造元を確認するようにしましょう。不明な場合に問い合わせをしてみて、きちんと対応してくれる企業のものを選ぶといいと思います。摂取量はパッケージにきちんと目安が書かれているので、大きく超えないようにしてください。

私自身も家族と一緒にビタミンCやD、亜鉛のサプリメントを摂っています。オーソモレキュラー医学会と日本スーパーフード協会の理事をしているので、サプリメントに加え、栄養豊富なスーパーフードも取り入れて、栄養バランスを考えた食事を心がけています。無農薬、無肥料のたんじゅん野菜(炭素循環農法による野菜)を取り寄せて、毎日おいしくいただいています。新しいお料理のレシピにチャンレジするなど、こんな時だからこそできることを見つけて楽しんでみてください。



プロフィール

井手口 直子 先生

帝京平成大学薬学部教授 大学院薬学研究科 教授 博士(薬学)、博士(教育)

  • 取材・文/おいしい健康編集部(メール取材)

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